お酒と水。乾杯の前にコップ一杯とシメの一杯。
水分摂取とアルコール摂取は別物
健康や長寿のために水分を摂りましょう、という話をすると、きまって中年男性の中に、「おれはビールやウイスキーで水分はお腹が出るほど摂っているから」と答える人がいます。
健康や長寿にプラスになる水というとき、もちろんアルコールはこれに含まれません。酒は百薬の長という言い方もありますが、体内の水分を考えた場合、薬とは言い難いのです。
アルコールは飲めば飲むほど脱水している
アルコールの大きな特徴に一つに利尿作用があります。アルコールは飲んだ分の半分以上が尿となって排出されます。概算ですが、1リットルのアルコールを飲むと、1.2リットルの水分が体から失われることになります。
飲めば飲むだけ、水分がたまりそうな気がしますが、実は飲めば飲むだけ体の水分量は減少しているのです。特にビールは利尿作用が強く、より多くの水分を失うことになります。
したがって、ビールを何杯も飲むと脱水症状を起こしかねません。立派なビール腹に、大ジョッキから何杯もビールを飲んでいるのに、体は脱水が実際に起きているのです。
二日酔いは脱水している
お酒を飲んだ翌日、特にビールをしこたま飲んだ次の日は、顔が腫れ、くすみ、全体の色もどこか黒ずんでいることがあります。
「二日酔いの影響か」と勝手に自己診断しがちですが、これは脱水の影響で新陳代謝が悪化しているからです。つまり、本来ならば水分が排出してくれる老廃物がたまっている状態で、それが顔に出ているのです。
原因はアセトアルデヒド
こんな状態が続いていたら、肝臓に負担がかかります。老廃物のたまった肝臓は機能が低下し、脂肪肝→肝臓がんにいたるケースも少なくありません。
自分の適量以上のアルコールを飲み、しかも体内の水分量が少ないまま翌朝を迎えると、二日酔いを起こします。その原因となるのは、体内で分泌されるアセトアルデヒドというホルモンです。
欧米人がお酒に強い理由
欧米人種はこのアセトアルデヒドを分解する酵素を生まれつき持っている人が多く、そのせいでアルコールに強いといわれています。アメリカ人はお酒に強く、ウイスキーのボトルをすぐ空けてしまうイメージがありますが、その秘密には酵素があったのです。
逆に日本人にはこの酵素を持っている人が多くありません。それで日本人は欧米人ほどお酒が強くなく、少し飲み過ぎると二日酔いを起こしてしまいます。
アセトアルデヒドは有害物質ですから、体内に居続けると、頭痛や吐き気、動悸などの症状を招きます。体内に大量に蓄積されたまま眠ってしまうと、ときに呼吸困難に陥ったり、意識を失ってしまうこともあります。
カンパイ前の一杯で脱水を防ぐ
飲酒はこのように、ときに重大な症状を起こしかねませんから、水分補給が重要になってきます。水には解毒作用があり、アセトアルデヒドも排出してくれます。
その飲み方ですが、私は「カンパイ前の一杯」を提案しています。といっても、もちろん飲むのはコップ一杯の水です。アルコールに入る前に、水をとりあえず補給しておけば脱水症状はある程度防げます。
シメの一杯で二日酔いにならない
飲酒中の水の摂取もおすすめです。「そんな野暮な」と思う人がいるかもしれませんが、たとえばウイスキーはアルコール度数が高いためにストレートで飲むときは、横に水のグラスを置く習慣がアメリカにもあります。
お酒に強いアメリカ人も水を飲みながら飲酒するのですから、日本人の私達も、水と一緒にお酒を飲む機会を増やすべきです。また、「シメの一杯」の水もお忘れなく。解毒作用によって二日酔いの防止にもなります。
まとめ
飲酒前と飲酒後は一杯の水がおすすめです。
体にいい飲酒ができるのですから「水の効能計り知れず」ではないでしょうか。